大堀相馬焼・松永窯三代目 松永和生さん来春新工房開設

東京電力福島第一原発事故で浪江町から西郷村に製作拠点を移している大堀相馬焼の窯元・松永窯三代目、松永和生さん(71)は、2021年3月にも村内に新たな工房を構える。陶芸体験の専用室を設け、約1週間掛けて陶器を作るプランを用意。作品展示や住民交流ができるスペースも作る。東日本大震災から十年目を迎え、窯を受け入れてくれた地域への感謝を胸に、地元のにぎわいづくりにつなげたい考えだ。

新たな施設は、2014(平成26)年から製作を続けてきた現在の仮設工房を建て替え、同じ場所に建設する。木造平屋立てで、床面積約350平方メートル。

新たな工房の外観イメージ図

体験専用室では最大20人程度が一緒に作業できる広さを確保するほか、陶器を焼く窯を現在の3基から5基に増やす。体験プランでは、松永さん、共に窯を営む妻京子さん(68)らが指導。成形や絵付けなどの後、本焼きして完成させるまでの全工程に一週間程度、村内に滞在しながら取り組んでもらう。出来上がった作品は持ち帰れる。

観光客らが陶芸の醍醐味(だいごみ)をじっくりと味わう機会とする。滞在期間中に近隣の観光や地元住民とのふれあいを楽しんでもらう狙いもある。経験者や陶芸家志望者らも受け入れ、後継者を育成する。併せて気軽に挑戦できる短期間の陶芸教室も開く。

■後継者育成、ギャラリーも

ギャラリーを併設し、窯の作品を展示・販売する。四代目の長男武士さん(32)の若い発想を生かし、外部のデザイナーらが考案した絵柄を取り入れた湯飲みなど、大堀相馬焼の新しい魅力を積極的に発信していく。

交流スペースでは、来場者が陶芸に関して自由に懇談したり、休憩したりできるようにする。地域住民が陶芸以外を含めて手作り作品などを展示できるよう活用することも検討している。

松永窯は今後、村内を流れる阿武隈川の清流など、県南地方ゆかりの題材をデザインした陶器を打ち出していく方針で、地域の新たな特産品を目指す。

「新しいことに挑戦し続けることで伝統を次世代につなげ、守っていく取り組みを、工房に来て知ってほしい」と武士さん。和生さんは「多くの方々に気軽に足を運んでもらいたい。地元の人に温かく迎え入れてもらって陶芸活動をやってこられた。新しい工房で地域の活性化に貢献していきたい」と決意を語る。

※大堀相馬焼 浪江町大堀地区一円で300年以上前から伝わるとされる国指定の伝統的工芸品。疾走する馬の絵付けや、表面に細かく入った「青ひび」、「二重焼」と呼ばれる中空構造が特徴。大堀相馬焼協同組合によると、東日本大震災の以前には20戸を超える窯元があった。現在は県内で9戸、県外で1戸が作陶を再開しているという。

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