起業誘致軸に順次解除 福島県飯舘村の長泥地区の復興拠点外 一括対応から村が方針転換

 

2022/06/20 09:35

 

 福島県飯舘村は東京電力福島第一原発事故に伴う帰還困難区域の長泥行政区の特定復興再生拠点区域(復興拠点)外について、2023(令和5)年春に拠点内と一括で避難指示解除を目指すとしていた方針を転換し、企業立地など土地活用ができる条件の整った場所から順次、解除を検討していく意向を固めた。拠点外には既に堆肥製造事業者が進出する意向を示しており、村は誘致に向けて協議を進めていく。

 杉岡誠村長が19日、村交流センター「ふれ愛館」で開かれた長泥行政区住民説明会終了後、報道陣に明らかにした。杉岡村長が拠点外の避難指示解除の具体的な考え方を示すのは初めて。

 拠点外を巡っては、前村政が村営復興公園を設置し、避難指示を一括解除するよう政府に求めていた。要望を受けて政府は2020年12月、拠点外の避難指示解除について、人が居住しない土地活用に限った新たな仕組みを決定。要件を(1)年間積算線量が20ミリシーベルト以下に低下(2)土地活用を行う者などによって必要な環境整備が実施されている(3)地元との十分な協議-とした経緯がある。

 杉岡村長は、拠点外の避難指示解除について「土地活用をしながら検討する。来年春に解除できる場所もあるかもしれないが、区域一括でするとは申し上げていない」と述べた。その上で、土地活用する場所は除染や被ばく線量低減措置が取られているエリアから選定していく考えを強調した。

 誘致を進める堆肥製造事業者は、県内の浄化センターから汚泥、村内の農家から家畜のふんなどを収集し、乾燥から発酵・熟成、製品化まで一連の作業を実施する。乾燥には、拠点内で栽培した資源作物を活用したペレット燃料を用い、長泥行政区の農業振興を後押しする。着工時期などの詳細は今後、国や事業者と協議し決めるという。

 この他、土地活用に向けた計画として、拠点外の空間放射線量の低減状況を確認する実証エリアを設ける考えも示した。

 

関連記事

ページ上部へ戻る