ぷくぷく醸造を設立 福島県南相馬で立川さん 第一弾の日本酒完成 浜通りの米使用

 

「パイナップルのような香りで飲み慣れない人も楽しめる夏にピッタリのお酒」と日本酒をPRする立川さん

 

2022/08/24 21:27

 

 福島県南相馬市小高区の酒蔵「haccoba」の元醸造責任者、立川哲之さん(28)=東京都品川区出身=は7月に新たな酒蔵「ぷくぷく醸造」を立ち上げた。全国各地の蔵を間借りし、浜通りの米を使った酒を造っていく。第一弾の日本酒が完成し、24日に販売を開始した。

 商品名は「ぷくぷく醸造の純米酒」。南相馬市といわき市産のコシヒカリを浪江町の鈴木酒造店に持ち込んで醸造した。飲み口の軽さが特長だという。

 立川さんは南相馬市から起業型地域おこし協力隊として委嘱された起業家がメンバーの「ネクストコモンズラボ南相馬」の一員。自身の醸造設備を持たない「ファントムブルワリー」の手法で各地を巡り、場所を借りながら酒造りに励みたいとしている。ぷくぷく醸造が目指すのは「お酒を通して、浜通りの田畑を増やす」こと。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で影響を受ける農家の営みを支援する考えだ。

 茨城県の大学に通い、復興支援活動で東北を巡り、岩手県で日本酒を振る舞われたのが原点という。地元の酒に誇りを持つ人の姿から地域と酒蔵の関係に興味を持ち、3年で600を超える酒蔵を巡った。

 「ぷくぷく」は発酵する際の擬音と文化や営みが生まれて膨らんでいく様子を差す。「福島の米を全国に広めながら、南相馬の誇りと思われるような酒を造りたい」と語る。数年後、市内に醸造設備を設けるのを目標に掲げている。

 純米酒は500ミリリットル入りが2200円(税込み)で1000本を製造、1800ミリリットル入りが4620円(税込み)で200本を製造した。市内小高区のセブン―イレブン南相馬小高店、いわき市の古川クラ酒店、伊達市の根本安治酒店、福島市の越後屋などで扱う。

 

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