「昆虫産業」生み出せ 福島県田村市 起業志望者発掘へ10月と11月にワークショップ

 

市常葉振興公社が取り組むカブトムシの養殖=2022年5月

 

2022/09/19 09:40

 

 福島県田村市は昆虫関連産業の創出と集積に乗り出す。事業案や意欲ある起業志望者を発掘するための初のワークショップを10月と11月に計2回、開く。昆虫は観賞用などの需要だけでなく、食糧危機を救う貴重なタンパク源としても注目を集める。観光や交流の資源にもなる。市は「昆虫の聖地」を目指しており、豊かな生態系と里山を保全し、産業面でも「昆虫=田村」のブランドを確立する。

 市常葉振興公社などが6月に開いた「第1回全国クワガタサミット」の席上、有識者らが昆虫を生かした経済活性化の展望を提示した。国内外のカブトムシやクワガタなどはペットとして売買されている。高い技術を持った飼養家が育てた個体は1匹数万円で取引されることがある。カブトムシの飼養にはキノコ栽培で生じる廃菌床が使えるため、県外では循環型農業の確立に昆虫飼育を役立てている事例もある。昆虫の採集や観察を楽しむ観光、昆虫から抽出した有効成分を使った食品や健康・美容関連商品の開発、文化・芸術への活用なども新たな産業になり得る。

 市内では公社がカブトムシを育てており、ノウハウはある。サミット開催を契機に養殖や旅行商品づくりに関心を示す事業者も出ており、市として流れを加速させる。

 初企画のワークショップは10月2日にオンライン、11月20日に市内常葉町のスカイパスときわで開く。昆虫食、昆虫を育む里山保全、昆虫を生かした旅行企画など、自由に意見を出し合ってもらう。人気観光施設「ムシムシランド」の一層の魅力向上策も募る。全国各地の地方創生にかかわる「MAKOTO WILL(マコト・ウィル)」の執行役員島征史さんが進行役を務める。定員は30人程度。

 市は意見が出れば具体的な事業として取り組むことも視野に入れる。問い合わせは事務局へ。

 

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