双葉の災害伝承館、3日から内容充実 実物展示、解説を順次追加

 

 東日本大震災から十年になるのを前に、福島県は双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館の展示内容を三日から順次、充実させる。実物展示を増やすとともに、東京電力福島第一原発事故に関する事象や、震災(原発事故)関連死などについてより詳しい解説を明記する。「3・11」に対する来場者の理解醸成につなげる。

 県が二日、発表した。追加する展示の概要は【下表】の通り。展示物などの解説文をより詳しく、分かりやすい内容とする。大熊町の旧原子力災害対策センター(オフサイトセンター)にあった地形図などを新たに展示する。館内の展示数は現行の約百七十点から、三月末までに約百九十~二百点に増える見通し。

 原発事故前に福島第一原発で講じられていた津波対策に対し、国会や政府の事故調査委員会がまとめた見解などを紹介する。関連死は発災から十年となる今も増え続けている実態などを説明する。

 伝承館は今月二十日で開館から半年となる。展示を巡り、有識者でつくる資料選定検討委員会や来場者から、実物展示の充実やより詳細な解説を求める声が上がっていた。

 県生涯学習課は「今回の追加展示で完了ではない。今後も必要に応じて工夫を重ねていく」としている。

■東日本大震災・原子力災害伝承館で追加される展示の概要

◆実物展示
 ・旧原子力災害対策センター(オフサイトセンター)にあった自衛隊地形図
 ・津波被害を受けた賞状

◆展示解説
(1)地震や津波の被害の大きさ、衝撃
(2)東京電力福島第一原発事故関連
 ・津波への備え
 ・緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の概要
(3)県民の苦労、困難
 ・自主避難者または避難せずにとどまった住民の思い
 ・農林水産物の出荷制限
 ・震災(原発事故)関連死、避難先でのいじめ、自殺

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