熊本豪雨被災のピアノを修復 いわきの調律師・遠藤さん、現地の小学校に搬入へ
昨年七月の豪雨で被災した熊本県球磨村の渡小のグランドピアノは修復を終え一日、いわき市から搬出された。約三カ月をかけてピアノをよみがえらせた同市のピアノ調律師遠藤洋さん(62)は「子どもたちに笑顔が戻るよう、早く届けたい」と思いを語る。
兵庫県尼崎市出身の高校の同級生でつくるボランティアチーム「MOVE」が修復のためにプロジェクトを立ち上げ、クラウドファンディングで必要経費を調達した。
インターネットの新聞記事で、東日本大震災の津波により被災した豊間中のピアノを復活させた遠藤さんの存在を知り、リーダーの山中裕貴さん(32)が修復を打診した。
山中さんの思いを受け現地へ赴いた遠藤さんによると、熊本の豪雨被害は一昨年にいわき市などを襲った台風19号とは比べものにならなかったという。渡小のピアノのふたは外れ、泥が奥までこびりついていた。
遠藤さんの新しい修復作業は十年前の震災をきっかけに始まった。台風19号後には約六十件の依頼を受けたという。経験が自信となり「直してほしいという思いがある限り、どんな状態でも直し続ける」と誓い、今回もピアノと向き合った。
搬入には山中さんとメンバーの牧成実さん(32)が立ち合った。搬入を前に、いわき市出身のピアニスト上路実早生(じょうじ・みさき)さん(28)が試奏し、「ストーリーがあるピアノのすばらしい音色だった」と話した。
ピアノは二十一日に現地でお披露目される予定という。