仮設住宅の建材再利用 福島県富岡町の建設コンサル業「ふたば」
福島県富岡町の建設コンサルタント業「ふたば」は、東京電力福島第一原発事故に伴う避難者向けに建設された仮設住宅の集会所の建材を再利用し、本社敷地内に研修室「整(せい)の箱~ふたば交流センター」を整備した。遠藤秀文社長(49)は「社内の研修や住民による地域づくりの会合など幅広く活用したい」と話している。
研修室は木造平屋約百平方メートルで、かつて南相馬市鹿島区の牛河内第二仮設住宅にあったログハウス型の集会所の建材を再利用した。会議室や台所、トイレなどを備えている。
会議室の新設を計画していた遠藤社長が、社屋の設計で親交のあった南会津町の建築家故・芳賀沼整さんに相談。芳賀沼さんが設計した集会所の紹介を受け、原発事故で全町避難を経験した富岡町に合った建物として建材の活用を決めた。
研修室は芳賀沼さんらの手で保管されていた建材を使い、今年三月に完成した。芸術家の彦坂尚嘉さんが福島の復興を願って描き、集会所のシンボルになっていた外壁の壁画もそのまま残した。
研修室の名称「整の箱」は二〇一九年に病に倒れた芳賀沼さんの名前から取った。会合を通して考えや思い、未来のイメージを整えてほしいという願いも込めた。
研修室の前には建物の由来などを紹介する案内板を設置している。遠藤社長は「かつて集会所を利用していた南相馬市小高区の皆さんに見に来てほしい。地域の住民とのつながりを深める場にもしていきたい」と語った。