6月下旬にも廃炉作業開始 福島県と楢葉町、富岡町了承 東京電力福島第二原発
東京電力福島第二原発1~4号機の全四基の廃炉を巡り、福島県と、立地する楢葉、富岡両町は十六日、廃炉作業開始を了承すると東電に回答した。作業の事前了解を得られたことで東電は今月下旬にも施設の除染に着手し、四十四年後となる二〇六四年度の廃炉完了を目指す。県と両町は事前了解の回答書で、使用済み核燃料の全量県外搬出の早期検討などを求めたが、東電は搬出先を含めて具体的な方針を示さなかった。
■使用済み核燃料全量県外搬出 具体策示されず
「福島第一原発と合わせた福島第二原発の廃炉は本県復興の大前提だ。安全を最優先に進めてほしい」。内堀雅雄知事は県庁で東電の小早川智明社長に回答書を手渡し、福島第一原発1~6号機と合わせて県内全十基の着実な廃炉を要請した。
県原発安全確保技術検討会が報告書にまとめた九つの要求事項に基づいて提示した。福島第二原発1~4号機の使用済み核燃料プールには約一万体の使用済み核燃料が残る。放射性廃棄物を含めて、県外搬出による処分の方向性を早期に示すよう求めた。楢葉、富岡両町も同様の対応を申し入れた。
使用済み核燃料の取り扱いについて、小早川社長は「廃止措置終了までに県外に搬出する方針」と従来の主張を繰り返すにとどめ、「できる限り早く、搬出できるよう努めていく」として処分に関する具体的な検討には言及しなかった。
廃炉の流れは【図】の通り。福島第一原発の廃炉作業と並行して進めるため、廃炉期間を四十四年と設定。全工程を四段階に区分し、第一段階(十年)のみに具体的な作業内容を盛り込んだ。
福島第二原発は福島第一原発事故発生後、県などの要請を受け、東電が二〇一九(令和元)年七月に廃炉を決定した。工程をまとめた廃止措置計画を国に申請した昨年五月、県と立地する両町に作業開始の事前了解を求めていた。
【福島第二原発の廃止措置について、県が事前了解の回答書で東京電力に求めた対応】
1 要求事項の確実な実施
・技術検討会が取りまとめた9項目の要求事項を確実に実行し、安全対策に万全を期すこと。特に、長期的な対応となる使用済み燃料の県外搬出の取り組みを確実に進めるとともに、放射性廃棄物の処分について責任を持って取り組み、早期に方向性を示すこと
2 安全文化の醸成
・長期にわたる廃止措置を福島第一原発の廃炉と並行して進めるに当たり、県民が不安を抱くことがないよう、東京電力の社員をはじめ廃止措置に関わる全ての職員が、安全に対する意識や法令順守の理念を共有し、継続的に安全文化の醸成を図ること
3 地域との連携推進
・福島第一原発と合わせた廃炉は本県復興の大前提であり、安全を最優先に責任を持って廃炉の取り組みを進めるとともに、地元企業や事業者との連携を図り、地域とともに復興に向けた取り組みを加速すること