新型コロナ抗体を活用したマスク開発 福島県立医科大学が特許申請

 

 福島県立医大は、新型コロナウイルス感染症から回復した人の血液から取得していた抗体「IgA」を用い、ウイルスが体内に入るのを防ぐマスクを開発した。マスクに特殊なフィルターが入っており、ウイルスを吸着し、鼻や口に入りにくい仕組み。20日までに特許を申請した。

 新型コロナ予防に役立つIgAの取得は国内初で、これを使ったマスク開発も国内で初めてとみられる。

 開発したマスクは4層構造で、福島医大が独自のタンパク質解析技術を生かして取得した抗体「IgA」が付いたフィルターを内蔵している。ウイルスが入り込んだ場合、抗体がウイルスに吸着し、マスクを透過するのを防ぐ。抗体の大きさはウイルスよりもさらに小さく、1平方センチに10億個以上存在するという。

 製品名は「4層構造ウイルス吸着マスク」。医療界と産業界の橋渡し役を担う福島医大医療―産業トランスレーショナルリサーチ(TR)センターが試作品として開発した。須賀川市で電子部品やマスク事業を手掛けるゼファーが製造した。

 実用化を見据え、複数の販売企業と交渉を進めている。販売を始める時期や方法、価格などは今後決定する。

 開発を手掛けた高木基樹教授(47)は「これまで福島が受けた支援への恩返しがしたいと研究開発に取り組んできた。多くの人の役に立てばうれしい」と語った。

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