【リレーエッセー 医心伝心(2)】福島医大特任教授・前島裕子さん 「1日1善」と健康

 
 前回のエッセーでは幸せになる方法はすなわち「ポジティブ思考」と「感謝」であるというお話でしたが、頭の中では何が起きているのでしょうか? 「幸せ」と感情は密接に関係しています。

 喜怒哀楽の感情と身体は密接に関係していて、「怒哀」というネガティブな感情は免疫力を落としたり、太りやすくしたりと、医学的にも百害あって一利なしなのです。一方「喜楽」という感情はその逆で免疫力を上げたり、代謝を上げたり、老化を防いでくれます。

 最近「幸せホルモン」という言葉をよく耳にします。幸せホルモンは数種類知られていますが、その中でオキシトシンという幸せホルモンは人に親切にしたり、人と触れ合ったりする中で脳から分泌されるホルモンです。人にちょっとした親切をしたとき、心が温まる思い、つまり「喜」を感じた方は多いのではないでしょうか? その感覚こそオキシトシンの幸せホルモンの力です。このオキシトシンは、肥満を防ぎ、脳や、筋肉、骨の若返りの作用があることが報告されています。

 皆さんも「1日1善」で健康になりましょう! 例えば車の運転で、前に1台入れてあげる、ただそれだけで良いのです。1台入れただけで目的地への到着時間は大して変わりません。しかし入れてあげた車の「ありがとう」のハザードランプはあなたのオキシトシンの分泌を増やしてくれるでしょう。幸せになるためには感謝するとともに「感謝される」ことも大切です。1台入れてあげる思いやりや心の余裕も、幸せな気持ちにつながるのでしょうね。

 このエッセーで譲り合いの運転が増えたら私もオキシトシンが増えるかも!

=次回は福島医大主任教授下村健寿さんが担当します=

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