心支えた民謡響け 佐藤優姫さん(帝京安積高) 福島県飯舘村出身・郡山に避難 12日に東北大会

 

民謡で古里に元気を届けたいと意気込む佐藤さん

 

2023/01/29 09:30

 

 民謡で古里に元気を届けたい-。福島県飯舘村出身の佐藤優姫(ゆめ)さん(16)=郡山市・帝京安積高2年=は2月12日に宮城県石巻市で開かれるNHK東北民謡コンクール優勝大会ジュニア部門に出場する。東京電力福島第1原発事故の避難先の郡山市で民謡と出合い、心の支えとして力を伸ばしてきた。「支えてくれた飯舘と郡山の人たちに活躍を見せたい」。東北の若手実力者が集う大舞台に挑む。

 喉の開きを意識し、曲に適した節回しを心がける。県大会で頂点に立った「会津田植唄」に磨きをかけ、大会に向けて練習している。

 5歳の時、東日本大震災と原発事故の影響で飯舘村を離れ、各地を転々とした後、郡山市湖南町に避難した。環境が変化し、ストレスなどで小学校に通えない時期があったという。小学2年の時、親切にしてくれた住民から民謡を習っては、と勧められた。教室に通って歌い方の基本を学び、楽しさを知った。「民謡を通していろいろな人と触れ合うことができた。舞台に立つことで気持ちが強くなり度胸も身に付いた」。周囲となじめ、学校生活も楽しめるようになった。力強さと豊かな声量が高く評価され、数々の大会で入賞を重ねた。

 中学3年の時、家族が体調を崩した。民謡を続けられるか不安だったが、「民謡がない生活は考えられない」と周囲に支えられながら練習を続けた。

 東北民謡コンクール優勝大会を目標としている愛好家は多い。参加者の減少などで主要大会が減っている中、東北一を決める大会として知られる。小学4年生から19歳未満が対象のジュニア部門で最高賞を獲得すれば、次回から一般向けの大賞部門の出場権を得る。昨年も出場したが入賞できず、今回に懸ける思いは強い。

 橋本民謡会の橋本勝雄会主(81)=郡山市=は、佐藤さんが小学4年の頃から約6年にわたり指導し、真面目に民謡に向き合う姿を見てきた。「夢を持って頑張っている。県の代表として見事な歌声を披露してほしい」と期待する。

 佐藤さんは帝京安積高軽音楽部にも所属している。将来は音楽に関わる仕事がしたいと夢を描く。大好きな民謡を今後も続ける。「民謡の楽しさが聞く人に伝わればうれしい。古里の人たちや家族の力になりたい」。心の支えとなった民謡で東北一を目指す。

 

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