常磐もの加工品味わう食堂、年内にも開業 福島県いわき市の上野台豊商店 直売店総合オープンは9月10日
「常磐もの」を中心に魚のおいしさと魅力を広めていきたいと意気込む上野台さん
2023/08/21 17:25
福島県いわき市小名浜の水産加工業「上野台豊商店」は年内にも「常磐もの」を活用した魚介類の加工品を楽しめる食堂を開く。市内小名浜のいわき・ら・ら・ミュウ内に7月プレオープンした直売店「小名浜あおいち」を9月10日にグランドオープンする。
上野台優社長(47)は「地元の人を中心にに魚を食べてもらいたい」という強い思いから、開業に向け準備を進めている。市内小名浜辰巳町に開業予定の店舗は「小名浜あおいち食堂(仮称)」。小名浜の郷土料理サンマのポーポー焼き、なめろうを販売する食堂、自社の水産加工品をそろえた直売店、水産物を活用した弁当を販売する売店の三つの機能を持たせるという。
同社は東日本大震災後、加工品販売に大きく舵を切ってきた。郷土食再生や魚離れの脱却、産地力だけでは勝負できないという視点から活路を見いだしている。「福島の魚をいかに『おいしい』『魅力がある』と思ってもらえるかが大事。待つのではなく前に出て広めていかなくてはいけない。自分たちに与えられた使命なのかもしれない」と話す。
直売店には、小名浜港などで水揚げされたサンマやカツオを使った同社独自の加工品が並ぶ。「常磐もの」を堪能できるテイクアウトも売りだ。また、土日祝日の午前8時から同10時までの限定で、「小名浜のり弁当(税込み980円)」を販売している。
福島の水産業が正念場に立たされる今、「加工品」という一つの武器にさらなる商品価値を見いだし、魚に触れる場、食べる場、提供する場を今後兼ね備え、消費者に対し、魚の魅力を伝え続けていく覚悟だ。