震災の記憶、漁具で伝える 地域おこし協力隊の野村さん 展示へ整理作業、協力者募る 福島県いわき市江名地区

 

地域住民らと協力しながら漁具の整理を進める野村さん

 

2023/12/05 09:31

 

 福島県いわき市の江名地区地域おこし協力隊として活動する野村史絵波さん(29)は、東日本大震災の津波で流された漁具の展示に向けた整理作業を進めている。被災経験を風化させず、海との共生の在り方を問いかける目的で資料館を整備する構想もあり、野村さんは「多くの人に協力してほしい」と呼びかけている。

 震災発生後、地元の江名まちづくり協議会のメンバーが津波で流された漁具を集め、地区内に保管してきた。市は漁具の有効活用に向けて協力隊員を募り、市内出身で昨年まで奈良県で勤務していた野村さんが今年4月に就任した。

 漁具の整理作業は10月に始まり、10人ほどの住民やボランティアが協力。震災当時の集魚灯や六分儀などの船舶器具、大漁旗、ロープを運び出し、倉庫で選別している。来年6月ごろには活動の成果を公開する計画で、将来的には地区の資料館として常時公開できる環境を整えたい考えだ。

 野村さんは「地元に残る文献が少ない中、漁業や震災の歴史を後世につなぐ役割の一端を担い、これからの漁業や海との付き合い方について問題提起していきたい」と話している。

 「江名地区漁具資料館をつくるプロジェクト」と銘打ち、交流サイト(SNSのフェイスブックやインスタグラムなどで情報発信をしている。現在は運び出しなどを手伝う協力者を募集している。問い合わせは江名市民サービスセンター(野村さん)へ。

 

関連記事

ページ上部へ戻る