震災と原発事故で休校の双葉高 卒業生、母校の再開願い草刈り 福島県双葉町

母校の草刈りに汗を流す双葉高の卒業生ら
2025/04/17 10:56

双葉高の校舎の前で心一つに校歌を歌う卒業生
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に伴い休校となっている双葉高(福島県双葉町)の卒業生は16日、母校の草刈りに励んだ。将来的な学校再開を願って環境美化に努めようと、創立記念日に合わせて有志が初めて企画し「双高草刈り会」を立ち上げた。学びやの伝統をつなぐ誓いを胸に刻み、作業に汗を流した。
2002(平成14)年3月卒業で、双葉町出身の官林春奈さん(42)が校舎周辺をきれいにし、人の姿を見せることで防犯にもつなげようと考案した。原発事故の影響で各地に避難している卒業生らに声をかけ、参加を募った。
この日は官林さんや同窓会長の松本貞男さん(77)、ボランティアの町民ら約40人が集まった。県の許可を得て敷地内に入り、鎌や機械を使って、背丈ほどにまで伸びた校舎周りの草を刈り取った。
官林さんは「良いスタートが切れた。これからも定期的に開催し、双葉高への感謝を表していきたい」と笑顔を見せた。
■校歌で心一つに…校舎前で「歌う会」
草刈りに先立ち、双葉高の「校歌を歌う会」が昨年に続いて催された。卒業生ら約30人が東日本大震災の爪痕が残る校舎の前で、心一つに校歌を歌い上げた。第一応援歌、第二応援歌も斉唱した。
歌う会を企画し、指揮者を務めた1970(昭和45)年3月卒業で浪江町出身の吉田繁雄さん(73)は「昨年より3倍ほど多い人数が集まってうれしい限り。今後も継続し、卒業生の活動を発信していきたい」と決意を新たにした。