救急時に「マイナ救急」実証事業始まる 正確な医療情報を把握へ 福島県いわき市消防本部

 

マイナ保険証を活用した救急搬送時の様子を再現する隊員=いわき市消防本部

 

2025/10/01 15:30

 

 福島県のいわき市消防本部は10月1日、マイナンバーカードに健康保険証機能を持たせた「マイナ保険証」を救急搬送時に活用する「マイナ救急」の実証事業を始めた。救急隊員が現場で、マイナ保険証を通じて傷病者のかかりつけ医や服薬情報などより正確な医療情報を把握し、円滑な救命活動につなげる。市消防本部の担当者は、早めのマイナ保険証の利用登録や、常時携帯を呼びかけている。

 現場に到着した隊員が、マイナ保険証を専用の機器で読み取り、タブレット端末でシステムにアクセスして傷病者の医療情報を閲覧する。タブレット端末では傷病者の名前や住所の他、受診歴や薬の処方歴、健康診断の結果などが表示され、応急処置や搬送先の選定に役立てられる。

 マイナ保険証を活用する際には、傷病者本人から口頭で同意を得るのが原則だが、意識不明時などの緊急時には現場の判断で利用が可能となる。傷病者が自身の医療情報を慌てて思い出せない場合でも、システムを通じて的確な情報を伝えられるメリットもある。

 実証事業は総務省消防庁が全国の全720消防本部、5334隊で展開している取り組み。市消防本部では管内の全14隊で実施する。

 市国保年金課によると、7月末時点で国民健康保険に加入する市民5万2264人のうち、約7割がマイナンバーカードと健康保険証のひも付けを行っている。一方で、市消防本部によると、2024(令和6)年度までに全国の67消防本部、660隊で実証事業が実施されたが、傷病者の約8割がマイナンバーカードと保険証のひも付けが済んでいなかったり、マイナ保険証を携帯していなかったりして、マイナ救急の効果を十分に発揮できなかった。

 市消防本部の宍戸栄介警防課主幹兼課長補佐は「もしもの場合に備え、マイナ保険証へ早期登録し、常時携帯を心がけるようお願いしたい」と呼びかけている。

 

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