南相馬のロボテス 全国消防がドローン研修
総務省消防庁は全国の消防職員のドローン研修拠点として南相馬市原町区の福島ロボットテストフィールド(ロボテス)を活用する。大規模災害対応のため、全国の消防本部で小型無人機(ドローン)が導入されている状況を踏まえ、研修体制を強化する。同庁の災害対応ロボット開発や実証実験で、ロボテス入居企業などと連携することも検討している。
消防庁、福島県、福島イノベーション・コースト構想推進機構が11月20日、施設利用などに関する協定を締結する。消防庁が地方自治体と協定を結ぶのは初めて。消防庁は締結に先駆け、17日から3日間、ロボテスでドローン研修を実施する。24日からも行う。二回の研修には、全国から100人以上の消防職員の応募があり、今回は選ばれた計30人が参加する予定。ドローンの研修を希望する消防本部は多く、消防庁は来年度以降も年に2回程度ロボテスで研修会を開く計画。予算の状況に応じて回数を増やしていきたい考えだ。
ドローンを導入している消防本部では、大規模災害や山林火災が発生した場合、被害範囲の把握などに活用し、効果的な消火や救出活動につなげている。消防庁によると、6月時点でドローンを導入している全国の消防本部は726カ所のうち、309カ所。福島県内では8月時点で、12消防本部のうち11消防本部が導入している。
ロボテスは消防訓練施設として国内トップクラスの設備を持つ。水害で一階部分が冠水した住宅を再現した水没市街地フィールド、住宅やビルが立ち並ぶ市街地フィールドなどがあり、現場に近い状況でドローンの技術を磨くことができる。県と機構は、全国から研修に訪れた消防職員らの意見を参考に設備機能の強化に取り組む。
消防庁と県内企業が連携したロボット開発に関しては、県と機構のネットワークを活用し、消防庁と地元企業を結び付ける取り組みを進める予定。消防庁の担当者は「新たに災害対応ロボットを開発する場合、ロボテスでの実証実験をはじめ、県内のロボット関連企業の意見も取り入れたい」としている。
県ロボット産業推進室は「福島県でドローン研修が行われることで、ロボテスの利活用促進や企業同士の新たな連携が期待できる。地域経済の活性化にもつながる」としている。