広野に国内最古の化石 樹木メタセコイア

 会津若松市の県立博物館は十九日、副主任学芸員の猪瀬弘瑛(ひろあき)さん(37)=古生物学=が広野町の約八千八百万年前の地層から、国内最古のメタセコイアの化石を発見したと発表した。メタセコイアは樹木の一種で、一度、絶滅したとされたが、約七十年前に中国奥地で見つかり世界に再び広がった経緯から「生きた化石」と呼ばれる。国立科学博物館によると、日本での進化の過程や分布を調べる上で重要な資料になるとみられ、植物史に関わる発見と注目されている。 

 猪瀬さんは二〇一六(平成二十八)年一月、広野町西部・上北迫の山間部にある中生代白亜紀コニアシアン期の地層から見つけた。沢の中にあった直径十数センチの卵形の石表面に植物化石が散見されたため現場で割ったところ、見たことのない直径約二センチの球状の化石があった。収集後、国立科学博物館の研究主幹の矢部淳さん(49)=植物化石=に精査を依頼した。 

 矢部さんによると、これまで岩手県北部の沿岸部で見つかった約六千万年前(新生代)の化石が国内最古とされていた。この他に約七千万年前や約八千五百~八千六百万年前の地層からもメタセコイアの一部とみられる化石が見つかったケースがあるが、同種と断定できる決め手がなかった。猪瀬さんが見つけた化石は、メタセコイアの球果の特徴を備え、保存状態が良かったため国内最古と特定できた。矢部さんは「これまで考えられていたよりもっと昔からメタセコイアが日本で生育していたと言える確実な証拠になる」と評価する。 

 世界最古の化石は、シベリアの約一億年前の地層で見つかっている。猪瀬さんらは、今回の化石とともに卵形の石に含まれていた植物化石の調査を進め、メタセコイアが育った当時の環境を探る手掛かりにする。猪瀬さんは「福島県は化石の宝庫であると多くの人に知ってもらえればうれしい。将来は県立博物館で展示できればいい」と話している。 

 二十六日から四月四日まで東京・上野の国立科学博物館の企画展で展示される。

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