浪江でEV、自動運転活用の実証実験 2021年度、日産が事務所設立
日産自動車は二〇二一(令和三)年度、電気自動車(EV)や自動運転の技術を活用した新たな町づくりの実証実験の現地事務所を浪江町に設立し、隣接する南相馬市や双葉町で実証実験を展開する。内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)が十八日、浪江町を訪れ、明らかにした。
日産は二月に浪江、双葉、南相馬の三市町、パートナー企業と連携協定を締結。「道の駅なみえ」を拠点にEVを走らせ、東京電力福島第一原発事故による避難で人口減少や高齢化を課題に抱える地域で移動手段の在り方を探った。乗客と一緒にスーパーの商品を載せて道の駅や各家庭に運ぶ「貨客混載」の有効性も確かめた。
実証実験では日産自動車の社員が一日平均で四十人常駐し、最も多い日で百人近くが滞在した。同社は、町が整備するJR常磐線浪江駅周辺に事務所を設ける見通し。
浪江町を拠点に南相馬市、双葉町の復興の現状や地域の特徴を参考にしながら、地域の実情に合った実証を展開する方針。開始時期や内容について南相馬、双葉両市町とそれぞれ調整を進めているという。
内田氏は「車を作ってお客さまに提供するだけでなく、車を超えた新しい価値、サービスを提供し、社会に貢献する。日産の技術で何を被災地に提供できるかを勉強したい」と述べた。
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内田氏は浪江町役場で、吉田数博町長を訪問した。吉田町長は実証実験が町民に好評だったとして「実験で終わらせないで継続し、常態化してほしい」と要望した。