本格操業へ移行開始 漁業者「まずは一歩前進」 福島県漁連
県漁連の試験操業が終了し一日、福島県沿岸漁業の本格操業へ向けた移行期間に入った。初めての漁が行われた。今後は操業の自主的制限を段階的に緩和し、各漁協が漁法や出漁日などを見直しつつ数年かけて震災前の水揚げ量や流通量回復を目指す。県内漁業者は「まずは一歩前進」と気持ちを新たに出漁した。
相馬市の松川浦漁港からは相馬双葉漁協所属の小型船が出漁した。船は午前七時から八時ごろにかけて次々と港に戻り、多彩な魚種を水揚げした。
シラウオ漁から戻った栄芳丸の船主鈴木紀博さん(55)は「(試験操業から)やることが一気に変わるわけではないが、本格操業に向けて少しずつ進み始めたと感じる」と、明るい表情を見せた。
資源保護のために行っていた漁獲制限、試験操業で停止していた他県沖操業の在り方など、移行期間に多くの課題解決が求められる。
同漁協の立谷寛治組合長は「試験操業を脱却し、漁業者にも気合が入る。課題を一つずつクリアしながら本格操業に移っていきたい」と話した。
■阿武隈川漁業一部で再開
阿武隈川漁協は一日、東京電力福島第一原発事故の影響で休止していた阿武隈川での漁業や釣りについて、一部制限付きで十年ぶりに再開した。
漁獲の対象となる魚は福島市の東北電力信夫発電所より上流のコイ、フナ、イワナ、ウグイ、アユの五種類と同発電所より下流のコイ、ウグイ、アユの三種類に限る。
原発事故から十年が経過し、環境中の放射性物質が減少していることなどから再開した。漁を行う組合員は賦課金や漁業行使料金、釣り人は遊漁料を組合に支払う。
問い合わせは同漁協 電話024(553)0488へ。