川内産ブドウワイン完成 地域活性化決意新た 5年がかりの結晶に舌鼓
川内村産のブドウを使った初のワインが完成し、十五日に村内上川内の高田島ヴィンヤードでお披露目会が開かれた。関係者がブドウの栽培開始から五年がかりでできたワインを味わい、地域活性化や交流人口の拡大に向け決意を新たにした。
高田島ヴィンヤードでは、東京電力福島第一原発事故で被害を受けた村の農業と観光の柱にしようと二〇一六(平成二十八)年にワイン醸造用ブドウの栽培を開始。昨年十月に初収穫したシャルドネ約六百五十キロを山梨県山梨市と新潟市の醸造所に運び、七百五十ミリリットル入りフルボトル五百六十一本が完成した。
お披露目会にはボランティアや住民ら約三十人が参加した。栽培などを担う「かわうちワイン」社長を務める猪狩貢副村長が「地元の人をはじめ、多くの人に支えられて完成した。ワインを核にした地域の活性化に取り組む」とあいさつ。遠藤雄幸村長が祝辞を述べた。出席者は大滝根山を望む雄大な風景を眺めながら乾杯し、完成の喜びを分かち合った。
高田島ヴィンヤードでは現在、約三ヘクタールの畑でブドウ約一万一千本を栽培している。五月末に完成するワイン醸造施設では今秋収穫分から醸造を始め、来年春には初の村産ワイン「かわうちワイン」ができる見通し。
今回完成したワインは量が少ないため一般販売は行わない。遠藤村長は「村産の野菜やイワナを使ったワインに合う加工品なども開発中だ。ワインを通して新たな縁を育んでいきたい」と語った。