「ふくしま進化論」提唱 福島政経懇話会知事が講演
福島政経懇話会の第二百七十九回例会は二十六日、福島市のザ・セレクトン福島で開かれた。会長を務める内堀雅雄知事が「令和の復興・創生に臨む思い」と題して講演し、「ふくしま進化論」を唱えた。
内堀氏は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興の進み具合によって「光と影」があると指摘。「影を光に変えていくには挑戦しかない。これからの福島にとって挑戦を進化させることが重要だ」と強調し、進化を「成長する力」と定義した。
「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一、生き残るのは変化できる者である」と進化論提唱者チャールズ・ダーウィンの言葉を引用。「自分自身の日々の対応を変えることができるか、進化させることができるかが大事なキーワードだ」とし、(1)未来への進化(2)きめ細かい進化(3)共創する進化-を掲げた。
「未来への進化」の象徴として、浜通りに新産業を集積させる福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想を挙げた。トヨタ自動車が浪江町にある世界最大規模の水素製造拠点の水素を使って水素エンジン車の開発・量産を目指し、日産自動車は同町で自動運転技術の実証を進めていく計画だとして被災地発の技術革新に期待を寄せた。
内堀氏は「品質は全国トップレベルだが発信の仕方が弱いために知られていない商品が多い」と指摘し、商品パッケージの「きめ細かい進化」によって販路拡大や売上増加につなげた事例をたたえた。「共創する進化」については、平田村の道の駅ひらたが村特産ハバネロを使って、福島大とイノシシ忌避剤の共同開発を進めていると紹介した。
結びでは、将来を担う子どもたちに向け「諦める大人ではなく、チャレンジする大人の背中を見せていく」と述べ、挑戦の進化論を率先して実践する考えを示した。