温かな福島弁織り込む 江戸糸あやつり人形「結城座」 2日から東京公演
江戸糸あやつり人形の伝統を継承する結城座(東京都)の十三代目結城孫三郎襲名披露公演「十一夜 あるいは星の輝く夜に」は六月二日から六日まで、東京都豊島区の東京芸術劇場シアターウエストで催される。主要な登場人物の多くが福島弁を話す。十三代目結城孫三郎を襲名する主演の結城数馬さん(42)は「温かく穏やかな語感が印象的。出演者一同、精いっぱい演技する」と意気込む。
シェークスピアの喜劇「十二夜」を原作にしており、今回が初演となる。船旅の途中で生き別れた兄セバスチャンを探す妹ヴァイオラの奮闘を描く。嵐に遭ったヴァイオラが流れ着いた土地「イリリア」の住民が話すのが福島弁だ。「おら」「だべ」「でれすけ」…。県民になじみ深い言葉がふんだんに盛り込まれている。
翻案・演出の鄭義信(チョン・ウィシン)さん(63)は「東日本大震災の記憶を胸に刻み続けなければならないという思いがあり、福島弁を織り込んだ。響きの愛らしさにも引かれた」と語る。作品冒頭の嵐のシーンなど震災を想起させる描写もある。
結城座は二〇一一(平成二十三)年、震災後に福島県内で復興支援公演を催した。結城さんは「大変な時にもかかわらず親切に公演を手伝ってもらったのをよく覚えている。恩返しのためにもゆくゆくは福島で上演したい」と意欲を見せた。
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チケットは一般六千円、三十歳以下三千円、学生二千円。結城座などで取り扱っている。問い合わせは結城座へ。
開演時間は次の通り。
▽2、3両日=午後7時▽4日=午後2時▽5日=午後1時、午後6時▽6日=午後2時
※結城座(ゆうきざ) 1635(寛永12)年に初代結城孫三郎が旗揚げした。現存する日本唯一の「江戸糸あやつり人形」の劇団。国記録選択無形民俗文化財、東京都無形文化財に指定されている。古典や書き下ろしの新作、海外の演出家・作家とコラボレーションした作品を精力的に上演している。