福島県内移住723世帯 2020年度 調査開始以降最多に
2020(令和2)年度に県内に移住した世帯は723世帯(1116人)で前年度の509世帯から214世帯増え、県が調査を始めた2006(平成18)年度以降で最多となった。東日本大震災と東京電力福島第一原発事故発生から10年で事故前の水準の約10倍に達した。県は新型コロナウイルス感染拡大に伴う地方移住への関心の高まりなどの状況を捉え、移住・定住に向けた関係人口創出などの取り組みをさらに強化する。
29日の6月定例県議会一般質問で、内堀雅雄知事が遊佐久男議員(自民、二本松市)の質問に答えた。2020年度は全国からの移住がみられるが、特に東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県が全体の52%だった。震災後の2012年度から9年間で計2000世帯を突破した。
2020年度に移住した世帯主らを年代別でみると、40代以下が528世帯で73%を占めている。723世帯の内訳は20代以下が235世帯(33%)で最も多く、30代が207世帯(28%)、40代が86世帯(12%)、50代が82世帯(11%)、60代以上が113世帯(16%)だった。
震災前は50代以上が約7割を占めていたが、震災後は一転して40代以下が約7割となる傾向が続いている。
県は人口減少対策の柱として移住・定住への支援策を充実させてきた。2017年度には7つの地方振興局に「移住コーディネーター」を配置し、ふるさと回帰支援センター(東京)にある本県移住窓口と連携して希望者と候補地の橋渡しをしている。移住希望者が県内を下見する場合の交通費補助に加え、2019年度には東京23区内からの移住者に対する移住支援金なども設けている。さらに、新型コロナの感染拡大に伴うテレワークの普及や地方生活に対する価値観の高まりなども移住増加の背景にあるとみている。
県は将来的な移住・定住につなげるため、関係人口を増やす取り組みにも注力する。今年度は県外企業と地域住民が継続的に交流するワーケーションの取り組みなどを計画している。内堀知事は答弁で「福島の魅力を積極的に情報発信し、本県との新しい関わり方の創出・拡大・深化を図る取り組みを進め、さまざまな相談ニーズにきめ細かく対応する」と述べた。
近隣県でも移住世帯は増加傾向にある。各県で集計方法が異なるため単純比較はできないが、山形県は2020年度が81世帯(143人)で2019年度の43世帯(72人)から増えた。群馬県は2020年度が集計中で、2019年度が717組(962人)で2018年度の568組(1051人)から増加している。