福島県浪江町にコミュニティ農場設置へ 東の食の会 高付加価値の作物で地域活性化

 

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の被災地で農林水産業・食産業の振興を通して復興を進める「東の食の会」(東京都品川区)は、福島県浪江町に高付加価値の作物を栽培するコミュニティ農場を設ける。食のブランド化を進め、地域活性化につなげていく。

 東の食の会は、休眠預金を社会課題の解決や民間公益活動の促進のために活用する「休眠預金等活用制度」の実行団体に採択された。助成金4987万円を原資に、今年度から3年間、浜通りの食のブランド化に向けた事業を展開する。農林水産物の風評払拭(ふっしょく)と県産品のファン獲得で、復興を進める。

 具体的には浪江町に設ける農場で、これまであまり県内や東北、国内などで栽培されていない作物を実験的に栽培し、新規就農者の栽培技術向上を図るとともに浜通りの風土の可能性を探る。食の生産者向けの集まりを開き、連携を強化する。

 ヒラメの加工品や未利用魚を活用した新商品、えごまを使った加工品を生み出す。新たな販路作り、産地を巡るツアーの企画、海外への食文化発信などの企画を展開する。

 東の食の会が岩手県の事業者と開発した「Cava(サヴァ)缶」は、シリーズ累計1000万缶(製造数)を突破するヒット商品となった。

 4月から浪江町に移り住み、拠点に活動している高橋大就専務理事は「浜通りは大きな可能性を秘めている。地域の人たちと連携し、盛り上げていきたい」と抱負を語る。

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 休眠預金等活用制度の資金分配団体「社会変革推進財団」(東京都港区)の青柳光昌専務理事と東の食の会の高橋専務理事は5日、県庁で記者会見し、事業概要を説明した。

 東の食の会は実行団体採択の第1弾として6日、浪江町の道の駅なみえでマーケティング講座を開催する。漁業、農業関係者らがこれからの時代を生き抜く戦略などを学ぶ。

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