福島県沖地震から半年 住宅修繕いまだ2割 「こんなにかかるとは」

 

 2月に発生した福島県沖を震源とする最大震度6強の地震から13日で半年となる。被害が大きかった地域では屋根や外壁などの住宅修繕の依頼が多くあるが、業者不足などで進んでおらず、今も市民生活に暗い影を落としている。住宅の修繕が始まらない住民は「こんなに時間がかかるとは」と肩を落とす。一方、復旧工事が完了していない学校などの公共施設もあり、自治体は対応を急いでいる。

 震度6強の揺れに襲われた福島県国見町では全壊1棟、半壊22棟、一部破損526棟と甚大な被害を受けた。

 「被災直後に修繕を頼んだのに、まだ作業が始まらない」。同町藤田の無職花井忠さん(75)は被災した屋根の写真を見つめ、ため息を漏らす。屋根の頂点から四隅に向かって傾斜する「ぐし」といわれる部分がずれ、壁にひびが入り、「準半壊」と判定された。屋根の応急修理を福島県伊達市の業者に頼んだが、工事開始の見通しは立っていない。

 見積もりで確認に来た業者からは「雨漏りの心配はない」と言われたが、近年、全国で台風や豪雨など自然災害が頻発し、甚大な被害が出ている。「大雨や地震などで損壊が広がるのでは」との不安が拭えない。

 町によると、費用の一部を町が補助する応急修理に申し込んだ町民約150件のうち、完了報告があったのは50件と約3割にとどまる。町は業者にそれぞれの住宅の修繕を工期内に完了させるよう呼び掛けている。

 福島県国見町をはじめとする県北地方で被災住宅の修繕工事を請け負っている福島市の「屋根のいがらし」は現在、屋根などの工事約140件を手掛ける予定だ。ただ、通常の新築工事なども進めなければならない。代表の五十嵐正和さん(44)は「被災したお客さんのため早く取り組みたいが、職人不足でなかなか進まない」と苦悩する。

 福島県新地町は福島県内で住宅の被害が最も多かっただけでなく、震度6強の地震で町内の学校なども破損した。複数の学校が被災したため復旧設計などに時間を要したが、町は来年1月末ごろの復旧完了を目指し、作業を本格化させている。

 町内の小学校3校と中学校1校で校舎の壁にひびが入ったり、体育館の天井や内壁、ガラスなどが壊れたりした。現在、各校では体育館の内壁をはがすなどし、詳細な調査を進めている。新地小や尚英中では、体育館が使用できず、体育の授業を屋外や空き教室を活用して行っている。

 4校合わせた災害復旧事業の費用は約1億3千万円に上る。町教委は「子どもたちのために、安全な学校施設の確保と早期復旧を両立させたい」としている。

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