年明けにも復興拠点への立ち入り規制緩和 福島県富岡町が方針

 

 福島県富岡町は2023年春の避難指示解除を予定している特定復興再生拠点区域(復興拠点)について、年明けにも全域の立ち入り規制を緩和する方針を固めた。緩和により来春から夜の森地区の桜並木全体の観桜が可能になる見通し。8日の町議会全員協議会で町が示した。

 緩和するのは夜の森地区を中心とした復興拠点全域に当たる約390ヘクタール。来年春の準備宿泊開始を前に、復興拠点に自由に立ち入りできるようにし、帰還に向けた体制を整える。住民による部屋の掃除や業者に依頼して実施する住宅のリフォームなどが進み、帰還の準備が加速すると期待されている。緩和の開始時期は来年1月中旬から2月中旬を想定している。

 緩和を受け、これまで旧富岡二中周辺の800メートル区間に限られていた桜並木の観桜は約2・2キロ全体で楽しめるようになる。全体を歩いて見られるようになるのは原発事故以来12年ぶりとなる。

 緩和に合わせ、セブン―イレブン・ジャパンは町内での移動販売を始める。11月から解除区域で開始。年明けからは復興拠点での販売も始め、帰還の準備で訪れる住民の利便性向上につなげる。

 一方、復興拠点全体の除染進捗(しんちょく)率は79%にとどまっている。全員協議会の席上、町議から環境省の担当者に準備宿泊が始まる来年春までに除染を完了するよう求める声が相次いだ。

関連記事

ページ上部へ戻る