処理水「先送りできない重要課題」 岸田首相が就任後初めて福島県入り
岸田文雄首相は17日、就任後初めて福島県を訪れ、東京電力福島第一原発を視察した。第一原発で増え続ける、放射性物質トリチウムを含んだ処理水について「多くのタンクが並んでいる姿を見て、先送りできない重要な課題だと痛感した」と強調。海洋放出する政府方針への県民らの懸念払拭(ふっしょく)に努める考えを示した。
岸田首相は東日本大震災と原発事故の被災地を訪れ、富岡町文化交流センター「学びの森」で記者団の質問に答えた。県民をはじめ国民から反発、懸念の声がある海洋放出方針への対応を問われ、「国際原子力機関(IAEA)をはじめ国際機関の力も借り、安全性について透明性をもった説明をすることが大事だ」と述べた。
処理水を保管する大量のタンクが並ぶ原発構内の現状に「二度とこのような事故を起こしてはならないとの強い思いで、取り組まなければいけない」と語った。
エネルギー政策に関しては「デジタル化などで電力使用量が格段に高まると考えれば、再生可能エネルギー一本足打法では価格や安定供給の観点で十分ではない。複数の選択肢が求められる」とし、原子力発電の必要性に言及した。
2045年までとする除染廃棄物の県外最終処分は「法律に定められており、国の責務だ。地元の声を受け止め、実現させる」と強調。原発事故に伴う帰還困難区域のうち特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた地域については2020年代に希望者の帰還を目指す政府方針に基づき、帰還に必要な箇所の除染、地域コミュニティーの再生に取り組む考えを表明した。
視察には西銘恒三郎復興相らが同行した。
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