伝統の稚児鹿舞、郷土で披露 福島・大熊町熊川地区の保存会

 

笛や太鼓の音色に合わせて舞を披露する鹿役の子どもたち

 

2022/03/28 09:33

 

 福島県双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館で26日、大熊町熊川地区に伝わる熊川稚児鹿(しし)舞が披露された。震災後、双葉郡内で披露されるのは初めて。

 熊川稚児鹿舞は、熊川地区が凶作や疫病に苦しんだとき「鹿」に扮(ふん)し、鎮守である諏訪神社に舞を奉納したことに由来する郷土芸能で、4人の子どもたちが鹿の役を務める。

 4日に同館で始まった大熊町特集展「東日本大震災・原子力災害 大熊町の歩みとゆくえ」の一環として、保存会に館内での披露が呼び掛けられた。この日は、いわき市などから集まった子どもたち4人が笛や太鼓の音色に合わせて舞を披露した。来館者は4人が踊る様子を写真や動画に収めていた。

 保存会の宮本明会長(71)は「舞手の中には震災後に生まれた子どももいる。次世代の子どもたちが舞を受け継いでいると思うと感慨深い」と振り返った。舞手の一人で、宮本会長の孫の鈴木裡希人(りきと)君(13)は「伝統を継承する思いが固まった」と引き締まった表情で話した。

 

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