「自分のできることをしていきたい」 福島県楢葉町に移住した義岡翼さん 自然体で福島に向き合う
楢葉町のみんなの交流館「ならはCANvas」で仕事をする義岡さん
2022/06/07 21:02
東日本大震災の伝承活動や次世代の人材育成を目的にした「3.11メモリアルネットワーク」事務局の義岡翼さん(28)が福島県楢葉町に移り住み、震災と東京電力福島第一原発事故から11年が過ぎた被災地で、課題に向き合い、未来に向けた取り組みを進めている。
大阪府吹田市出身。8年前、南相馬市小高区に家屋の片付けボランティアに参加したのをきっかけに、本県と関わりを持った。大阪に避難する人とも交流し、少しずつ福島への思いを強くした。
大阪で訪問介護の仕事をしながら、休暇を利用してたびたび浜通りへ復興支援に訪れた。震災の津波で行方不明になった次女を探し続ける大熊町の木村紀夫さんと知り合った。原発事故で捜索できなかった無念を聞き、心を動かされた。
被災地で本格的に活動しようと考え、除染や放射性物質についてまとめた資料を作り、家族に福島行きを訴えた。昨年、浜通りで震災の教訓を後世に伝えていく活動を始めた。過去の教訓を未来へ生かすためには何を伝えるべきか。より良い社会にしていくためにはどうすべきか。伝承の難しさを感じた。
そんなとき、3.11メモリアルネットワークの事務局を担っている公益社団法人「3.11みらいサポート」を紹介された。石巻市で一年間、語り部講話や展示物を活用した震災学習・防災学習のプログラム運用や調整業務について学んだ。
今春から楢葉町のシェアハウスで生活しながら、みんなの交流館「ならはCANvas」のワーキングスペースなどで仕事をしている。「この地で自分のできることをしていきたい」。自然体で福島に向き合っていく。