2024年度にも福島県大熊町の復興拠点外の除染開始 住民意向踏まえ範囲検討 政府

 

2022/06/12 18:00

 

 東京電力福島第一原発事故に伴う帰還困難区域のうち、福島県大熊町の特定復興再生拠点区域(復興拠点)外の除染は2024(令和6)年度にも始まる。政府は今夏にも住民に対する帰還意向調査を実施。帰還意思を示した住民の自宅周辺などを優先的に除染する方針で、調査結果を踏まえて2023年度に詳細な除染範囲を検討する。

 11日、大熊町といわき市で開いた住民説明会で政府と町が明らかにした。調査は原発事故当時、復興拠点外に住民票があり、土地や家屋を所有していた住民ら約750世帯が対象。7月ごろに行政区長に調査の詳細を説明し、その後、各世帯主に書面を送付する。家族のうち誰が帰還するのか、帰還後は営農再開の意思があるかどうかなどを聞く。1カ月程度での返信を求め、集約次第、行政区別に住民説明会を開く。

 調査結果を踏まえ、今年度中に大まかな除染範囲の案を作成。2023年度に詳しい除染場所を協議し、2024年度の除染開始を見込む。除染後に安全性を確認した上で、避難指示を解除する方針。現段階ではすぐに帰還を判断できない住民がいるとみられるため、避難指示は複数回に分けて解除する見通し。帰還意向調査から避難指示解除までを1つのサイクルとして数回繰り返す計画だ。

 政府方針について、住民説明会では厳しい意見が相次いだ。「除染を終えてから帰還意向を聞くべき」「拠点外全域をすぐにでも除染すべき」などの声が挙がった。帰還しないと決めている住民からは荒廃した土地の扱いの明確化や家屋の解体を求める意見が出た。

 原子力災害現地対策本部の辻本圭助副本部長は説明会終了後、報道陣の取材に「方針を理解してもらえるよう説明を重ね、町の復興に向けて責務を果たしていく」と述べた。

 住民説明会は12日、会津若松、郡山両市でも開く。復興拠点外を巡っては政府が昨年8月、2020年代に希望する住民が帰還できるよう避難指示を解除する方針を示した。

 

関連記事

ページ上部へ戻る