東日本大震災で全壊の神社再建 福島県浪江町 8月14日、12年ぶり盆踊り

 

再建された国玉神社の前で伝統の獅子舞を披露する川添芸能保存会

 

2022/07/18 07:02

 

 東日本大震災で被災した福島県浪江町川添地区の国玉神社が再建された。住民有志が歴史を後世に受け継ぎ、住民の交流促進につなげようと、委員会を組織して工事を進めた。17日、現地で遷宮祭を行い、住民が心のよりどころの復活を祝った。

 神社は1870(明治3)年ごろに建てられたとされ、震災で神殿が傾いたり、床が抜けたりするなどして全壊した。地区のシンボルの一つだった神社を残そうと、住民らが約3年前に再建委員会を設立。氏子と連携して地元の力で再建費用を集めた。

 100人超から計約800万円が寄せられた。川添行政区の浄財も活用し、2020(令和2)年4月に再建工事を開始し、今年の5月に完成した。

 神社では震災前、7月17日に例大祭が催されていた。同じ日に合わせた遷宮祭には住民ら約60人が集まった。井瀬信彦宮司が神事を執り行い、氏子が大切に保管していたご神体が神殿に移された。再建委員長で川添行政区長の大和田和雪さん(70)らが玉串をささげた。

 川添芸能保存会が震災後初めて、境内で伝統の獅子舞を披露した。「乱獅子」で「川添繁栄、大繁栄」の掛け声を響かせ、地域のさらなる復興を願った。

 再建に向けて中心になって活動してきた大和田さんは「想像以上の寄付が集まり、住民同士のつながりが強い地域だと再認識した。国玉神社を次世代に引き継いでいきたい」と述べた。

 国玉神社の再建を受け、震災と東京電力福島第一原発事故で中断していた川添地区の盆踊りが12年ぶりに復活する。境内にやぐらを建て8月14日午後2時から、催される。川添芸能保存会が獅子舞を披露する。

 

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