福島県内の高校生や住民が処理水海洋放出などに意見交わす 大熊町で福島第一廃炉国際フォーラム
処理水について意見を交わす高校生ら
2022/08/29 09:34
東京電力福島第一原発の廃炉を考える「第6回福島第一廃炉国際フォーラム」は28日、福島県大熊町のlinkる大熊で開幕し、県内の高校生や地元住民らが処理水海洋放出や高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処分などに意見を交わした。
原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)の主催。パネル討論で、生徒らの質問に国の担当者や東電幹部らが答えた。
処理水海洋放出について、安積高2年の小出桃香さん(16)は「トリチウムは害があまりないとされるのに、なぜ問題になっているのか」と尋ねた。原子力規制庁の金子修一次長は水道水に含まれる塩素に例え、「濃度が低い場合は体内に入っても影響を与えない」などと答えた。
磐城高2年の吉野遥南(はるな)さん(16)は「トリチウムを薄めても全量を放出してしまえば同じことではないか」と質問。金子氏は「時間をかければトリチウムが半減期を迎え、残量は少なくなる」とした。吉野さんは終了後の取材に、風評被害が懸念されるとし「福島沖で流すのはやめてほしい」と述べた。
会場からも質問を募った。大熊町から宮城県に避難している男性は核のごみの処分の見通しが立っていない現状を指摘。「政府は原発再稼働を目指す一方、核のごみ問題の説明はない。子どもや孫に町に戻ってこいと言いたいが、もどかしい」と心境を明かした。
風評対策や産業、廃炉計画、損害賠償などに関する意見も出た。最終日の29日はいわき市のアリオスで開く。