子ども食堂をスタート 一般社団法人SJWのダナンジさん 海外出身者と住民の架け橋に 福島県いわき市
子どもにカレーなどの食事を手渡すダナンジさん
2022/09/28 09:09
スリランカ出身で、東日本大震災をきっかけに福島県いわき市に移住した一般社団法人SJW(日本のくらしによりそう会)代表のフェルナンド・ダナンジさん(40)は27日、市内内郷御厩町の一軒家で子ども食堂を始めた。言葉や文化の違いを乗り越えるのに苦労した経験を踏まえ、「困った時に地域で助け合える関係をつくりたい」と張り切っている。
スリランカの大学を卒業後、2005(平成17)年に来日。都内のIT企業に勤めていた2011年に震災が起きた。東北の沿岸部に押し寄せた津波の映像に衝撃を受け、2004年のスマトラ沖地震による大津波で被災した母国の姿と重なった。当時、両親は津波で家を失った親戚を自宅に避難させ、衣食住を提供していた。「外国人にとって異国での被災はつらいはず」と支援を決意。日本国籍を取得し、いわき市で2015年から活動を始めた。
避難生活でストレスを抱える外国人の親子の居場所をつくろうとフリースクールを開設。子どもに日本語などを教え、困りごとの相談にも乗ってきた。外国人の中にも、社会になじめず孤立する親や、大人に代わり家事や家族の世話をするヤングケアラーがいることを知った。子ども食堂では外国にルーツがある人と住民との関わりを増やし、子育てや災害時に助け合う関係をつくるのが狙いだ。
当面はテークアウトで食事を提供する。新型コロナウイルス感染が落ち着けば、一緒に夕食を食べたり、交流したりする機会を機会を設ける。ダナンジさんは「震災に続きコロナ禍の影響を受けている外国人も多く、心のケアが必要だ。悩みを相談し合う居場所にしたい」とほほえんだ。