「復興の道筋つくる」 福島県双葉町に宮城県女川町から応援職員 土井英貴さん自ら志願

 

応援職員として双葉町役場新庁舎で働く土井さん。「双葉復興の道筋をつくる」と情熱を燃やす

 

2022/10/05 09:31

 

 福島県双葉町役場新庁舎で、宮城県女川町の復興計画策定に携わったエキスパートが応援職員として働いている。復興推進課主任主査の土井英貴さん(46)は自ら志願して今春、双葉町に派遣された。女川町は東日本大震災の津波で甚大な被害を受けたが、「復興のトップランナー」と称されるまで再生を遂げた。双葉町は特定復興再生拠点区域の避難指示が解除され、新たなまちづくりが進む。「経験を生かし、双葉復興の道筋をつくる」と情熱を燃やしている。

 新庁舎2階にある復興推進課で、土井さんは6月に策定された第3次町復興まちづくり計画の「実施計画」作りを担っている。各事業の3カ年ごとの進め方や必要な予算などが一目で分かるよう一覧表に落とし込む。初めての取り組みで「担当者が変わっても、復興が止まらないようにする」と狙いを語る。

 女川町は震災で14メートルを超える津波が押し寄せ、住宅のほとんどが流出し、犠牲者は827人に上った。復興に向け、公民連携のまちづくりを重視。町民から頻繁に声を聞いて意見を取り入れた町復興計画を震災から約半年後に策定した。港町の景観を失わないよう巨大防潮堤を設けず、住民の居住場所は高台に限定。商業エリアを中心地に集約し、利便性を高めた。にぎわいを取り戻し、居住人口は約6割回復した。

 昨年、研修で双葉町を訪れ、「まちが止まっている」現状に衝撃を受けた。「これまでの経験を双葉で生かしたい」。強い思いが芽生え、応援派遣を直訴したという。

 女川町と同様、双葉町でも住民とともに歩む復興が重要と考える。ただ、町民は東京電力福島第1原発事故の影響で全国に避難し、意見が聴ける機会は限られる。「他の地域より復興に時間はかかる。それでも町民と一体となってまちをつくらなければ、双葉は取り戻せない」と、応援期限となる来年3月末までに復興の土台を構築する意欲を示す。「みんなで同じ方向を目指し、少しでも良い双葉をつくっていきたい」と誓っている。

 

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