公衆電話の使い方知っテル? 緊急時 通話制限少なく 福島県警双葉署、12日に児童向け講座

 

講習会に向けて公衆電話の使い方を最終確認する西池係長=富岡町、さくらモールとみおか

 

2023/01/09 09:15

 

 あす10日は110番の日。大規模災害や事故、事件発生時など緊急事態に通信障害や通話制限が少ない公衆電話の価値を見直す動きが福島県内で出ている。日本公衆電話会福島支部は警察署やNTT東日本と連携し、県内の学校などでの使い方講座に乗り出す。第1弾として富岡町で12日、小学生を対象とした福島県警双葉署主催の講座が開かれる。数が少なくなった公衆電話。使ったことのない子どももおり、関係者は子どもたちが非常時に活用できる環境づくりに取り組む。

 通常の通話では硬貨やテレホンカードが必要な公衆電話だが、災害や事故、事件発生時に利用する110番や119番は無料で通話できる。

 全国では事件発生時に役立ったケースもある。監禁されていた女子中学生が公衆電話を使って通報し、保護に至った。総務省の調査によると、東日本大震災が起きた2011(平成23)年3月11日の公衆電話の通信回数は、NTT東日本管内で前日比で約10倍となる500万回だった。携帯電話がつながりにくくなり、家族間などで安否確認に使用されたとみられる。

 日本公衆電話会福島支部はNTT東日本からの委託を受けて県内の公衆電話を管理している。事務局長の木村拓路さん(64)によると、携帯電話の普及で公衆電話の使い方を知らない子どもも増えているという。「県内の子どもたちに使い方や設置場所を周知する活動に力を注ぎたい」と言葉に力を込める。

 12日に富岡町の富岡小で開く講座は双葉署地域交通課地域第1係長の西池崇康さん(42)が中心となって企画した。

 3、4年生の児童約10人が参加する。交通事故やひったくり事件の発生を想定し、実際に電話をかけるまでの流れを学ぶ。町内の公衆電話の設置場所も説明する。

 署員と日本公衆電話会福島支部の職員が使い方などを指導する。西池さんは「迅速な連絡と対応で助かる命もある。万が一の時の心構えを学んでほしい」と願う。

 公衆電話は総務省の設置基準に基づき、市街地では概ね1㌔の範囲で1台、それ以外の地域においては2㌔の範囲で1台を目安に設置されており、県内も全59市町村にある。ただ、県内の設置台数は2004(平成16)年には約7900台だったが、携帯電話の普及に伴い2022(令和4)年3月時点で約2400台にまで数を減らした。駅や学校の近辺、病院、大型商業施設などに置かれている。

 

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