震災・原発事故12年 処理水放出「風評起きる」90% 処分方法は賛否分かれる 福島県民世論調査
2023/03/06 10:08
福島民報社は福島テレビと共同で福島県民世論調査(第40回)を実施した。東京電力福島第1原発の放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出に伴い「大きな風評被害が起きる」「ある程度起きる」との回答は合わせて90・5%に上り、日本世論調査会が4日に公表した全国世論調査結果と同様の傾向となった。処分方法については「賛成」38・9%、「反対」41・0%と分かれた。政府と東電は海洋放出を「春から夏ごろ」として準備を進めているが、国内外の消費者らに処理水処分への理解が浸透しないまま計画が進むことに対し、県民が強い懸念を抱いている現状が鮮明になった。
処理水の海洋放出に伴う風評被害に関する回答結果は、「ある程度風評被害が起きる」が56・4%で最も多く、「大きな風評被害が起きる」が34・1%で続いた。「ほとんど風評被害が起きない」は6・9%、「全く風評被害が起きない」は2・5%で計9・4%と1割に満たなかった。
福島民報社加盟の日本世論調査会がまとめた全国世論調査結果でも、海洋放出で「大きな風評被害が起きる」「ある程度起きる」との回答が合わせて93%に上った。
国内外の原発でトリチウムを含む水が海洋放出されている事実や、処理水の放射性物質を浄化処理により基準値以下にして放出する手法、県産農林水産物の安全性などへの理解が十分に広がっていないとの声が依然として多い。
処理水を海水で薄めて福島第1原発の敷地から海に放出する処分方法に関する回答結果は、各年代でも賛否が分かれており、県民にとっても難しい問題であることを示した。「わからない」は20・1%だった。