水素社会実装へ連携 福島県浪江町と米ランカスター市、ハワイ郡 知見や取り組み共有

 

2023/03/08 10:16

 

 福島県浪江町と米国のカリフォルニア州ランカスター市、ハワイ州ハワイ郡の3地域は、米エネルギー省が水素エネルギーなどの社会実装に向けて設けた制度に初めて採択された。同省の支援を受け、国際連携に乗り出す。水素や再生可能エネルギーに関する知見、取り組みを共有し、世界規模での水素社会の実現を加速させる。

 7日に開会した町議会3月定例会で吉田栄光町長が明らかにした。制度は米エネルギー省が昨年に新設した。3地域が5年間にわたり「メンター・メンティー・プログラム」を実施する。財政支援などを活用し、地域間で情報共有を図る。

 町は「なみえ水素タウン構想」を掲げ、企業・団体と水素に関する実証事業を展開している。先進的な取り組みを進めるランカスター市と「水素社会の実現に向けた自治体パートナーシップ宣言」に調印した。ハワイ郡では再生可能エネルギーの先端的研究が進み、水素で走る燃料電池車(FCV)の普及を目指すなど水素への関心が高まっている。

 プログラムでは町とランカスター市がメンター(助言者)として、メンティー(被助言者)のハワイ郡に水素の知見を伝え、水素の製造、配送、地域での使用などのノウハウを共有する。ハワイ郡から次世代エネルギーの社会実装に向けたヒントを探り、互いの施策に反映させていく。将来的には3地域間でビジネスマッチングなども検討する。

 水素分野のほか、互いの産品や歴史などを発信する機会も創出する。町は大堀相馬焼やなみえ焼そばなどを世界にPRしたい考えだ。3地域間での子どもの交流事業も視野に入れている。

 吉田町長は3月定例会で「脱炭素社会の実現に向けた取り組みを世界に普及させる先導役となるよう親交を深める」と決意した。

 吉田栄光町長らは日本時間の4月29日から5月7日にかけて渡米し、ランカスター市、ハワイ郡の首長と会談する。プログラムの具体的な進め方や連携の在り方を議論する。ロサンゼルスで開かれるエネルギー関係者が一堂に集う国際会議に出席し、水素の取り組みを発信する。

 

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