AI顔認識で思い出選び アルバム「うちの子少ない」防げ バックス情報システム(福島県いわき市)が開発

 

AIによる顔認識で被写体を選別できるシステム

 

2023/05/10 09:36

 

保育施設の関係者にフォトキッズプラスワンを説明する鈴木社長(右から2人目)

 

 「うちの子の写真が少ない」。卒園アルバムなどでありがちな、そんなトラブルを防ぎます−。アプリケーションソフトの開発などを手がけるバックス情報システム(福島県いわき市)は、アルバム製作の支援システム「フォトキッズプラスワン」を開発した。多数の写真から子どもを検索でき、アルバム編集で苦労する「写っている枚数の均等化」が簡単になる。幼児教育・保育現場から期待の声が上がっており、今夏の運用開始を目指す。

 最新の人工知能(AI)を駆使した顔認識システムを活用した。社長の鈴木雅之さん(61)が幼稚園や保育所のアルバム作りの大変さを知ったのが開発のきっかけだ。「子どもごとに違うアルバムがあったら面白い」との声も参考にした。

 幼児教育・保育施設が撮影した膨大な写真を同社が管理するデータセンターの「想(おも)い出ボックス」に集約する。AIを使い、すべての写真の中から特定の個人を抽出できる。複数の被写体の登場枚数をAIがカウントして平準化できる機能を備え、特許を取得した。保護者も自分の子どもを簡単に探せるため、家庭と施設が一緒になってデザインや写真選び、配置などの編集作業ができ、アルバム製作そのものが大切な思い出になる。

 全員共通のページに加え、家庭内での様子など、子どもごとに独自のコーナーをアルバム内に設けられるのも魅力だ。卒園後の写真保管継続契約プランも用意する方向で検討している。鈴木さんは「子どもの成長の記録を末永く残し、いつでも振り返ることができるようになる」と話す。

 完成したシステムに、現場からは歓迎の声が上がる。いわき市で保育施設を運営する学校法人星学園は、園での様子を複数の写真を使ってブログで発信しており、希望する保護者には販売もしている。今は職員が公平性を考慮しながら一枚一枚確認するため、手間と時間がかかっている。理事長の星行夫さん(69)は「職員の負担軽減につながる画期的なシステム。行事ごとのミニアルバムを作ってもいいのではないか」と期待する。

 サービスの提供開始に向け、鈴木さんは県内外の幼児教育・保育施設に出向き、説明や意見交換を重ねる。現場の現状やニーズを踏まえ、最適な運用方法を探るためだ。「学校や企業での活用、故人のメモリアルブックなど、さまざまな形で応用できるシステムにしたい」と意気込む。ネット社会となった現代だからこそ、それぞれのニーズに寄り添い、大切な思い出に新たな付加価値を求めていく。

 

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