浜野行政区の復活を願う石碑建立 福島県双葉町
浜野行政区の立てられた石碑と高倉区長
2023/06/05 09:15
福島県双葉町の中野、中浜両地区からなる浜野行政区の復活を願う石碑が4日、中野地区の八幡神社付近でお披露目された。建立の中心となった高倉伊助区長(67)は「住民にとって心のよりどころになれば」と願いを込めている。
石碑は高さ1・6メートル、幅3メートル。力強く刻まれた「復活」の文字は伊沢史朗町長が考えた。裏側には東日本大震災発生時、浜野行政区に住居を構えていた世帯主49人の名前が記されている。
現地で行われた除幕式には関係者約20人が出席した。舘下明夫町教育長と、「復活」の文字を揮毫(きごう)した書道家渡部翠峰(すいほう)さんらが祝辞を述べた。
浜野行政区では津波で14人の命が失われ、ほぼ全ての住宅が流失した。2020(令和2)年3月に行政区内の避難指示は解除されたが、津波の危険性などから、帰還した住民はいない。高倉区長は「たとえ居住できなくても、古里の復活を願う気持ちは変わらない」と思いを語った。
八幡神社から約200メートル東に離れた場所に、津波犠牲者を慰霊する新たな石碑が立つ予定。