電気を地産地消 ゼロカーボン実現へ 福島県大熊町、中学校跡地にメガソーラー
2023/06/15 09:28
福島県大熊町は、二酸化炭素排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボン」の達成に向け、町内下野上地区の大熊中跡地に大規模太陽光発電所を整備する。来年3月末の完成を見込む。太陽光で蓄電した電力は、JR大野駅西側に今後整備される公共施設や公営住宅の集会所に送る。下野上地区をエネルギーの地産地消の先進地とし、町の目標より10年早い2030(令和12)年のゼロカーボン実現を目指す。
最大1・8メガワットのメガソーラーと容量4メガワットの大型蓄電池を備える。大野駅西側は昨年6月に避難指示が解除された。電力を送るのは、来年12月完成予定の産業交流施設と商業施設、2027年度完成予定の社会教育複合施設。滞りなく送電するための「グリッドコントロールシステム」も設ける。総事業費は約23億円。環境省の交付金を活用する。
町の試算によると、各公共施設で使う電力の9割近くを再生可能エネルギーで賄える。二酸化炭素排出量を年間約730トン削減できるという。3日ほど蓄電でき、災害などの非常時に活用できる。避難所となる下野上地区の公営住宅集会所などでも活用し、住民の安全・安心につなげる。来年4月から順次、各施設に電力の供給を始める。
14日、現地で安全祈願祭と起工式を行った。吉田淳町長、施工する日立パワーソリューションズの安藤次男社長らがくわ入れした。吉田町長は「完成した暁にはゼロカーボン実現に向けた象徴的なエリアになる」と期待した。