処理水放出で施設運用状況を報道陣に公開 東電福島第1原発 透明性確保に課題も

 

大量の海水で薄めた処理水を採取する「サンプリングラック」の運用状況を説明する担当者(代表撮影)

 

2023/08/28 09:19

 

上流水槽から海につながる立て坑に処理水が流れる様子はフェンスなどに遮られ公開されなかった(代表撮影)

 

 東京電力は27日、福島県の福島第1原発の処理水海洋放出後初めて、設備の運用や監視状況を報道陣に公開した。放出開始から4日目となった構内では、社員が24時間態勢で大量の海水によって薄めた処理水の放出設備の安定した運転管理に努めていた。

 5、6号機原子炉建屋の海側に設けられたポンプは3台のうち2台が稼働し、毎時約1万5千トンの海水をくみ上げていた。毎時約19トンの処理水を海水で薄めている。海水の流量はポンプ近くの表示板にリアルタイムで示されていた。

 海水で薄められた処理水は上流水槽にたまる。水槽の入り口にある「サンプリングラック」から500ミリリットル程度の希釈された処理水を毎日採取し、トリチウムなどの放射性物質の濃度を測定している状況を東電の担当者が説明した。

 海とつながっている立て坑に上流水槽から海水で希釈した処理水があふれる様子はフェンスに遮られ、確認できなかった。今回の公開で参加者から要望があったものの、処理水を直接見る機会が設けられず、情報公開の透明性確保が課題として浮かび上がった。

 免震重要棟にある集中監視室では、1班9人の社員による「水処理当直」が遠隔で処理水がたまるタンクの水位や放出状況などを監視していた。担当者によると、設備の異常時には音と画面の表示で警報が発令されるという。

 東電の担当者は「ミスなく着実に処分を実施し、モニタリングの状況を含めてしっかりと情報を公開していきたい」と話している。

 

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