相馬農高飯舘校、15日に本校と統合 敷地など産業団地に整備方針 卒業生「古里復興の取り組み応援したい」 福島県飯舘村

 

母校の前で古里の復興・再生を願う伊東さん

 

2023/09/15 09:16

 

 東京電力福島第1原発事故に伴い休校している福島県飯舘村の相馬農高飯舘校は15日、同県南相馬市の本校に統合される。開校から74年余にわたり、農業をはじめ地元産業をけん引する人材を数多く輩出してきた。村は同校敷地を含む一帯を産業団地に整備する方針で、同窓会長の伊東利(とおる)さん(76)は「村での歴史が終わるのは残念だが、古里の復興・再生の取り組みを応援していきたい」と話す。

 飯舘校は1949(昭和24)年に相馬農高大舘分校として開校した。飯舘分校に改称後、2008(平成20)年に現校名になった。原発事故の影響で2020(令和2)年度から休校している。農業科や普通科などが設けられ、これまでに計約3400人が卒業した。

 村出身の伊東さんは家業の農業を継ぐため、1963年に入学した。設備が十分ではない中、同級生と人力で水田や畑を耕し農を学んだ。「『開拓精神』のような、自分で道を切り開く力を養った」と、母校での日々を振り返る。卒業後は県農業短期大学校を経て、地元JAに就職。退職後は村議を3期12年務め、農業振興や復興に尽力した。

 飯舘校の卒業生の多くは地元に残り、農業のみならず幅広い分野で活躍している。伊東さんは級友十数人と今でも集まっており、同窓生の絆は強いという。

 飯舘校は村を挙げて存続を後押ししてきた経緯がある。2007年には、入学者の定員割れを食い止めようと応援組織が発足。原発事故発生後は「食」と「農」を学ぶ村立高としての再開を目指していた。

 杉岡誠村長は「飯舘校の伝統や住民の思いを胸に、産業団地を早期に整備し村に人を呼び込みたい」と語っている。

 

関連記事

ページ上部へ戻る