双葉高創立100年/歩み固かれ目は遠く(6)スプリントコーチ 秋本真吾さん(41) 陸上に情熱「生き方」学ぶ

 

いわきFCの選手を指導する秋本さん

 

2023/10/04 09:24

 

 大熊町出身の元陸上選手、秋本真吾(41)=2001(平成13)年卒、千葉県柏市=は、正しいフォームでけがせず速く走る方法を教える「スプリントコーチ」の国内第一人者だ。

 サッカーのいわきFCでスプリントコーチを務め、J2昇格という躍進の一翼を担った。トレーニングだけでなく公式戦に帯同し、細部にわたり支援する。「兄貴分」として若い選手たちの信頼は厚い。

 プロ野球チームや大学サッカー部でも教えている。理論に裏打ちされた指導法と分かりやすい語り口に、各方面から依頼が相次ぐ。

 1998年に双葉高に進学し、大熊中時代から取り組んでいた棒高跳びを続けようと陸上部に入った。しかし、必要な設備が整っていなかったため、陸上部顧問の白岩一夫から棒高跳びでなく400メートル障害をやってみないかと勧められた。

 当初はなかなかタイムが伸びず、大会で思うような成績を上げられなかった。それでもくじけず、白岩の指導の下、徹底的に走り込んだ。「競技人生で、あの時ほど厳しい練習はなかった」と振り返る。成果が表れたのは3年時。全国高校総体(インターハイ)の舞台に立った。

 白岩からは陸上だけでなく、生き方を学んだ。夏合宿では、食事作りをはじめとした身の回りのことを自分たちでやるよう指導を受けた。山登りやバーベキューなど仲間と楽しい青春の一ページを刻んだ。

 高校卒業後、国際武道大に進み、その後、プロの陸上選手として活躍した。五輪出場はかなわなかったが、当時の200メートル障害のアジア最高記録や日本最高記録を樹立し、2012年に現役を引退した。

 引退後に就職した会社で仕事をこなす中、「自分に何ができるのか」と考え続けた。もんもんとした気持ちでいる時、恩師に導かれた日々を思い出した。人に教えることに光を見いだし、スプリントコーチの道を歩み始めた。

 「双葉高は将来の道しるべを示してくれた」と話す。「走る喜びを多くの人に伝えていく。それが自分の使命」と固い決意を示す。(文中敬称略)

 

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