修復された双葉中のピアノ、12年半ぶりに音色復活 西村由紀江さんが浅野撚糸事業所で演奏
修復され、西村さんの演奏で美しい音色を響かせた双葉中のピアノ
2023/11/05 09:16
東京電力福島第1原発事故に伴い帰還困難区域となった双葉中に残されていたピアノが修復され、4日に双葉町の浅野撚糸双葉事業所でお披露目された。ピアニストの西村由紀江さんによるリサイタルが催され、復興を願う音色が約12年半ぶりに町内に響いた。
ピアノは双葉中の音楽室に眠っていたが、被災地に勇気や元気を届けようと、福島相双復興推進機構が協力し、8月に搬出された。いわき市の調律師遠藤洋さんが劣化していた弦を交換するなど修復を手がけ、再び弾ける状態にした。
西村さんは自身のオリジナル曲など約10曲を奏で、優しい音色で会場を包んだ。地元のコーラスふたばと共演し、双葉中校歌や双葉町民の歌、ふるさとを披露した。演奏後、西村さんは「お客さんに励まされ、後半になるにつれて音が力強くなった。今後も色んな人がピアノを弾いてほしい」と期待を寄せた。会場に訪れた町浜野行政区長の高倉伊助さん(67)は双葉中の卒業生。「休み時間や授業で弾いていた記憶がよみがえった。感無量だ」と語った。
リサイタルは地域活性化に取り組む町中野地区復興産業拠点立地企業協議会の主催。ピアノは浅野撚糸双葉事業所に展示し、今後もイベントなどで活用する。