浜通りに外国人観光客を 福島県富岡町出身の日下さん 南相馬市の起業型地域おこし協力隊に着任
門馬市長から委嘱状を受けた日下さん(左から2人目)
2024/08/20 19:00
福島県南相馬市の起業型地域おこし協力隊に、同県富岡町出身の日下あすかさん(29)が着任した。隊員として活動する3年間に、キャンプカーを活用した観光事業で浜通りに外国人観光客を呼び込む。
日下さんは東日本大震災や父の転勤などで福島県内の棚倉町やいわき市など各地を転々とした。2021年に東京芸大大学院芸術学部を卒業後、東京都の隈研吾建築都市設計事務所に入社。福島県浪江町のJR浪江駅前の再開発事業に携わる中で、故郷の現状を自分事として考えるようになった。建築には時間もお金もかかるが、その前にできることがあるのではないかと浜通りのまちおこしの方法を検討。県内の相双地方の馬事文化に着目し、協力隊に応募した。
南相馬市の相馬野馬追などの伝統的な観光資源を中心に、食や自然を海外に発信する。市内で使われていないキャンピングカーを借りて観光客に貸し出し、宿泊場所と移動手段を一挙に確保する。
日本と同じ左側通行の国で、福島県に訪れる旅行者が少ないイギリスやオーストラリアの観光客をメインターゲットとする。浜通りの観光地を巡る広域の旅程を提案し、被災地の地方創生を図る。来年5月の相馬野馬追までにキャンピングカー1台の所有を目指す。
南相馬市役所で門馬和夫市長から委嘱状を受けた。門馬市長は「多種多様な人材が集まりつつある。市としてもフォローするので、頼ってもらいたい」と話した。日下さんは「被災地はまだ課題を抱えている。南相馬市の馬事文化を残していくためにも、人を呼べる事業にしたい」と意気込んだ。