【震災・原発事故14年】警備会社の設立に尽力 初代タイガーマスクの息子 佐山聖斗さん 格闘家が守る福島県大熊町

 

大熊警備隊を通じて福島の復興や格闘家の地位向上を目指す聖斗さん

 

2025/03/05 10:45

 

 初代タイガーマスク佐山聡さんの息子聖斗さん(34)は、東京電力福島第1原発事故の全町避難を経験した福島県大熊町で、格闘家で構成する警備会社「大熊警備隊」を始動させた。移住した格闘家が警備員として地域を守りながら練習に取り組み、町の盛り上げ役も担って復興に貢献する。聖斗さんは「父の思いを受け継ぎ、浜通りを日本一安全な地域としてPRしたい」と意気込む。4月12日に大熊町で発足イベントを開催する。

 

■復興貢献のヒーローに

 大熊警備隊は、警備会社KSP(東京都)と聖斗さんが所属するコンサルティング会社アルコバレーノ(同)、大熊町で企業誘致などを手がける会社ビジネスゲートウェイの合弁会社。1月に町内の大熊インキュベーションセンターに設立した。聖斗さんが事業本部長を務める。イベントの雑踏警備や施設警備を請け負う予定で、新年度から採用などを本格化させる。

 聖斗さんは、ビジネスゲートウェイと関わりがあり、同社関係者から町の現状を聞いた。今年2月末で町に住民票がある9904人のうち町内居住者は900人と9%ほどにとどまり、空き家への侵入や窃盗といった治安面の不安も抱えていた。「力強い格闘家がまちを守る」。多くの格闘家はファイトマネーだけで生活できず、収入は不安定。警備員として収入を得ながら練習に集中できる環境があれば、地域と格闘家双方にとってメリットがあると考えた。

   ◇   ◇

 背景には、父の姿がある。佐山家の長男で一人っ子の聖斗さん。保護者の仕事を調べる小学校の授業で初めてリングで闘う父のビデオテープを見た。「かっこいい」とは思ったが、父から格闘技を強要されたことはなく、父譲りの身体能力で打ち込んだのはバスケットボールだった。大学卒業後は広告代理店で働きながら3人制のプロバスケチームでプレーし、格闘技とは無縁の生活を送っていた。

 転機は約7年前、父が病に倒れたのを機に、タイガーマスクのライセンス会社を設立するなど初めて「佐山聡」の人生に触れる機会が訪れた。プロレスラーとして世界を魅了し、独自の格闘技「修斗」を考案して現在の総合格闘技の礎を築いた数々の偉業も知った。

 「自分の使命は格闘技に人生をささげた父の思いを多くの人に伝えること」。27歳で当時の仕事もバスケもやめ、格闘技業界に入った。父の道場で格闘技を学んだり、格闘家の武尊さんと「7代目タイガーマスクプロジェクト」を立ち上げて慈善活動に取り組んだりもした。地域を守り復興に貢献するヒーローというイメージはタイガーマスクとも重なった。父も賛同してくれた。

 将来的には格闘技ジム併設型の拠点も町内に整備したい考えだ。体調次第だが、発足イベントには聡さんの参加も検討している。「復興と格闘家の地位向上に貢献する」と決意する。

 

関連記事

ページ上部へ戻る