復興を問う~国との温度差~ 先行き 支援継続は不透明 「必要性強く発信を」 福島県相馬市

相馬市尾浜にある集団移転跡地。奥には公園が広がる
2025/03/23 11:00
かつて民家が立ち並んでいた福島県相馬市尾浜地区には、枯れ草で覆われた更地が広がっている。東日本大震災で津波が押し寄せ、集団移転した跡地。市は復興庁の土地活用ハンズオン支援事業を受け工場や商業施設の誘致を進めている。しかし復興庁は2025(令和7)年度末に事業を終了させる方針で、市は対応に苦慮している。
支援事業は主に津波集団移転跡地を対象に2021年度に始まった。土地利活用に詳しい職員を現地に派遣し、全国に広がるネットワークを生かしてニーズ調査やマッチングをサポートしている。被災3県にある集団移転跡地の活用率は2025年度末で80%になる見通しとなり、全国の土地活用率88%に迫る。このため特別な対策を講じる優先度は低いと判断された。
相馬市は独自に集団移転跡地への誘致策を実施してきたが、十分な成果を挙げられなかったため、今年度に支援を受け始めた。17区画のうち用途が決まったのは4区画のみで、13区画合わせて68アールが塩漬けになっている。今後も専門的な知識が必要になるとして担当者は「何らかの形で支援してほしい」と切実に訴える。復興庁は相談には応じるとしているが、具体的な対応は未定だ。
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原発事故被災地12市町村間を結ぶ広域バス8路線に国が実質赤字分全額を負担する「被災地特例」は、継続されるのか不透明な状況となっている。1日当たりの利用客が数人の路線もあり、国は低調さを問題視。必要性を問う見方を強めている。
医療機関や商業施設の整備が途上の被災地では遠距離移動しなければならず、広域バスは貴重な交通手段だ。県はバス事業者や地元と連携し、利用者増と路線維持に向けた取り組みを進めている。乗客の利用目的や年代、ルート周辺にある施設などを分析し、利便性を向上させるためダイヤや経路を見直している。
さらに今後は被災地への住民の帰還や移住が期待でき、福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)や大野病院の後継病院が整備され、広域バスの重要性は高まる。県生活交通課は「国には路線の維持に向けて必要な財源を強く求めたい」としている。
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復興事業を巡る被災地と国の温度差が拡大する要因は何か―。福島県被災地の復興計画策定などに携わる東京大大学院情報学環総合防災情報研究センター長の関谷直也は、各地で相次ぐ大規模災害と南海トラフ地震など今後予想される災害への備えに国全体の関心が集まっているためだと分析する。
その上で情報発信の重要性がさらに高まっていると強調。被災地特有の課題には、依然として支援が必要であると強く発信すべきだとしている。仮に見直しが避けられない場合でも「代わりの一般事業で必要な課題に対応するなど支援の継続は必要だ」と提言する。(敬称略)
=復興を問う~国との温度差~は終わります=