2度の「全滅」乗り越えバナメイエビ初出荷 HANERU葛尾(福島県葛尾村)が陸上養殖

 

葛尾村で陸上養殖された食用バナメイエビの出荷作業

 

2025/06/25 10:09

 

 福島県葛尾村のHANERU(はねる)葛尾が村内の湯ノ平産業団地で陸上養殖を進めてきた食用バナメイエビが24日、初めて出荷された。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの村の復興を後押しする新たな産業として期待される。3年前から飼育を始め、2度にわたる稚エビの「全滅」を乗り越え節目を迎えた。松延紀至社長は「村の名物に育て、地域活性化に貢献する」と決意を新たにした。

 初出荷量は約4千匹。このうち24日は約100匹を村内の「御食事処 政」に卸した。社員が養殖施設の水槽から出荷サイズの15センチ前後に育ったエビを網で取り出し、軽トラックで運んだ。「政」では篠木弘村長ら関係者向けの食事会が催され、エビのしゃぶしゃぶやすしなどが振る舞われた。

 7月中旬ごろには、コラッセふくしま(福島市)1階の県観光物産館でエビフライやすしの弁当として販売される。村内を含む県内のイベントでも順次、売り出す予定。将来的にはインターネット販売、県内のホテルや飲食店などでの提供を計画している。

 年間の出荷量は5万~6万匹を見込む。販売状況などを見極め、徐々に飼育規模を拡大し、年間15万~20万匹の出荷を目指す。

 HANERU葛尾は2022(令和4)年1月に設立。湯ノ平産業団地に養殖施設を建て、約3カ月後から人工海水に稚エビを入れて養殖を始めたが、当初は技術が確立できず、2度全滅を経験した。社内で人工海水の成分を詳細に分析し、独自の飼育方法を生み出した。松延社長は「『エビを食べに葛尾に来たい』と思ってもらえるよう広く発信し、村の交流人口拡大につなげていく」と誓った。

 

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