農林水産大臣賞に山形屋商店(福島県相馬市)の「ヤマブン本醸造特選醤油」 全国醤油品評会

 

ヤマブン本醸造特選醤油を手に、4年連続の最高賞受賞を喜ぶ渡辺さん

 

2025/10/02 11:02

 

 日本醤油協会は1日、第52回全国醤油品評会の結果を発表し、最高賞の農林水産大臣賞に山形屋商店(福島県相馬市)の「ヤマブン本醸造特選醤油」が輝いた。次点の農林水産省大臣官房長賞に県醤油醸造協同組合(二本松市)の「香味しょうゆ」、林合名会社(会津若松市)の「イゲタ特級しょうゆ」が選ばれた。優秀賞には2醸造元の2商品が選ばれた。全国各地から303点の応募があった。このうち農林水産大臣賞に5点、農林水産省大臣官房長賞に10点、優秀賞に38点が選ばれた。

 

 「ヤマブン本醸造特選醤油」が2年連続で農林水産大臣賞に選ばれた山形屋商店(相馬市)は2022(令和4)年の「ヤマブンうすくち醤油」、翌年の「ヤマブン別上こいくち醤油」を含め、全国で初めて、同一蔵元で4年連続の最高賞を受けた。渡辺和夫代表社員(55)は「人の心を動かす確かな品質の商品を造ることができた」と笑顔を見せた。

 2011(平成23)年の東京電力福島第1原発事故が、より高品質の醤油造りに挑戦するきっかけだった。風評被害で県外の全ての取引先を失った。「あの時の悔しい気持ちは忘れられない」と振り返る。国内で信頼を取り戻すには、品評会で日本一の称号を得る必要があると奮起した。県醤油醸造協同組合や蔵元などと手を組み、年2回開く勉強会で情報を交換した。貪欲に技術を学び、他の蔵元の火入れの温度や時間、冷却法などを吸収していった。醤油や糖類、みりんを熱して寝かした「かえし」を火入れ前に加える技術を独自に開発し、香り高く色艶の良い唯一無二の商品に仕上がった。

 「まだ完成形だとは思っていない」と表情を引き締める。頭の中に、理想とする香りとまろやかさがあるという。「県内の蔵元と切[せっ]磋[さ]琢[たく]磨[ま]し、もっと技術力を高めていく」と誓った。

 

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