小高駅を季節の飾りで彩る 千葉の佐川さんと伊成さんに感謝状 長年の活動たたえる 福島県南相馬市

 

感謝状を手にする佐川さん(左)と伊成さん

 

2025/10/21 17:08

 

 千葉市の運送業、佐川一彦さん(55)と知人で弁当配達業の伊成千春さん(47)は、南相馬市小高区のJR駅で、季節に合わせた飾り付けを、東京電力福島第1原発事故による避難指示が解除された2016(平成28)年から続けている。19日に福島県南相馬市の門馬和夫市長から長年の活動をたたえる感謝状が贈られた。

 佐川さんは東日本大震災の発生直後から南相馬市などで、がれき撤去をはじめとしたボランティア活動に携わってきた。石巻市の被災者から聞いた「景色がすっかり変わって、四季が感じられなくなった」との嘆きの言葉が忘れられなかった。

 小高区に通うようになり、原発事故後、手つかずになっていた小高駅を見て「季節を感じてもらう場にしたい」と、飾り付けを始めた。最初はクリスマスシーズン。100円ショップなどから自費で材料を買い、出入り口そばの壁に、取り付けた。

 その後、菜の花や桜、こいのぼり、アジサイなど季節の花や風物詩をテーマに1年に8~9回ほど、飾り付けを変えていった。ボランティア仲間の伊成さんが同行し協力している。

 佐川さんと伊成さんの取り組みに地元の住民が気付き、数年前から手伝うようになった。壁の一角から始まった飾りは、どんどんと広がり、待合室全体が彩られるようになった。「今度はどんな風になるのだろう」「応援されているようでうれしい」。住民や駅を利用する高校生にとって、憩いの場にもなっている。

 佐川さんと伊成さんを手伝っている小高五区行政区の推薦で、市長感謝状が贈られることになった。秋の紅葉の装飾で訪れた佐川さんと伊成さんに、門馬市長が直接、感謝状を手渡した。門馬市長は「長年続け、地元との交流も生まれている。お手本のようなボランティアだ」と2人をたたえた。

 佐川さん、伊成さんは「気付いてもらえるだけでうれしい」と語り、継続を誓っている。

 

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